2025/05/27 12:26





2025年5月、音楽ストリーミングの世界では、新旧さまざまなアーティストがランキングを賑わせている。ジャンルや表現がますます多様化するなか、今、何が「聴かれているのか」――その答えを知ることは、音楽の“今”を知ることでもある。

今回は、GfK/NIQ Japanによるストリーミング再生回数レポートをもとに、再生数で頭ひとつ抜けた注目の邦楽10曲を紹介。リスナーの心を掴んで離さない理由を1曲ずつ掘り下げていく。




1位「クスシキ」/Mrs. GREEN APPLE

ミセスグリーンアップルの最新作「クスシキ」は、その名の通り「不可思議で神秘的」な魅力を放つ一曲。エッジの効いたエレクトロニックなビートと、生命の神秘に触れるような深い歌詞が融合し、聴く者を異世界へと誘う。挑戦的なサウンドとポップの境界を軽やかに越えた、2025年の代表作となりうる楽曲だ。






2位「ライラック」/Mrs. GREEN APPLE

「クスシキ」に続き、2位にもランクインしたのは同じくMrs. GREEN APPLEの「ライラック」。こちらは一転して、春の情景を思わせる透明感と希望に満ちたメロディが印象的。ライラックの花が象徴する“青春”や“再生”といったテーマが、どこか懐かしさを伴って響いてくる。前向きになりたいときに聴きたい1曲。






3位「SAD SONG」/ちゃんみな

ラッパー/シンガーとしての才能を磨き続けるちゃんみなによる「SAD SONG」は、その名の通り、切なさや心の痛みを鋭く表現したバラード。英語と日本語を織り交ぜたリリック、そしてエモーショナルな歌唱が聴き手の心に突き刺さる。恋愛、孤独、葛藤――現代の若者が抱える感情を赤裸々に歌い上げる一曲だ。






4位「天国」/Mrs. GREEN APPLE

またしてもミセスがランクイン。3曲目となる「天国」は、命や死をテーマに据えた重厚なバラード。タイトルの“天国”とは何か? という問いを投げかけながら、人生や人間関係の複雑さを描いている。壮大なアレンジと心に響くボーカルが、作品に深い余韻を与えている。






5位「ROSE」/HANA

HANAによる「ROSE」の完成度は他の楽曲に引けを取らない。甘さと鋭さを併せ持った歌声に、繊細かつドラマティックなサウンドが重なり、“新たな才能”の到来を予感させる一作。恋愛の痛みや美しさを薔薇になぞらえた歌詞が印象的。






6位「怪獣」/サカナクション

サカナクションの「怪獣」は、独特の音像設計とダークな歌詞が印象的なロックチューン。テクノやニューウェーブ的要素を織り交ぜながら、現代社会に潜む“怪物”のような不安や狂気を鋭く表現している。中毒性の高いビートと深い世界観に、聴くたびに新たな発見がある。






7位「ブルーアンバー」/back number

back numberが描く「ブルーアンバー」は、“青い琥珀”という幻想的な比喩が美しい、静謐なバラード。過去の恋を琥珀に閉じ込めるような切ない情景が、淡々としたサウンドの中に浮かび上がる。センチメンタルな夜にそっと寄り添ってくれるような存在感がある。






8位「PUZZLE」/清水翔太

R&Bシーンの実力者・清水翔太による「PUZZLE」は、複雑な恋愛関係や心の葛藤を“パズル”にたとえて表現した一曲。スムースなメロディラインと柔らかなボーカルが、混沌とした感情を包み込む。大人のラブソングとして、聴き応えのある仕上がり。






9位「ダーリン」/Mrs. GREEN APPLE

再び登場のMrs. GREEN APPLE。今度は王道のラブソング「ダーリン」で、恋する喜びと不安をストレートに歌い上げている。ポップなメロディと耳に残るサビが、つい口ずさみたくなるような親しみやすさを持っており、老若男女問わず人気を集める理由が分かる。






10位「TWILIGHT!!!」/King Gnu

King Gnuの「TWILIGHT!!!」は、タイトル通り“黄昏時”を想起させる、情緒豊かでロマンチックなナンバー。ジャンルに縛られないバンドの持ち味が遺憾なく発揮されており、サイケデリックな音の揺らぎと、井口理のボーカルが絶妙なコントラストを生んでいる。新たな代表曲の誕生を予感させる。






終わりに

2025年5月のランキングを見ると、Mrs. GREEN APPLEの圧倒的な存在感が際立つ一方で、R&B、ラップ、実験的なロックまで、多様なジャンルが横並びで評価されていることがわかる。

音楽は、時代の感情や価値観を映し出す「文化の鏡」だ。今月紹介した10曲は、どれもその時代性とアーティストの個性を見事に体現している。あなたのプレイリストに、ぜひ加えてみてほしい。






※本記事は、GfK/NIQ Japanによるストリーミング再生回数レポート(出典:Billboard-japan|https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/149770/2)を参考にしています。