2025/02/05 12:53

僭越ながら筆者がニルヴァーナを一言で表すと、「90年代の全若者の憧れ」である。
0.目次
1.ニルヴァーナはどんなバンド?
2.グランジとは?
3.ニルヴァーナの誕生とブレイク、カートコバーンの死による解散
4.代表曲「Smells Like Teen Spirit」
5.ニルヴァーナとガンズ・アンド・ローゼズの対立
6.ニルヴァーナの必聴アルバム
7.ニルヴァーナのおすすめTシャツ
8.最後に ニルヴァーナを初めて聴いた時の感想
1. ニルヴァーナはどんなバンド?
ニルヴァーナは1987年~1994年にアメリカで活躍したロックバンド。フロントマンであるカート・コバーンを中心としたスリーピースバンドで、「グランジ」という音楽ジャンルの先駆者。彼らはアンダーグラウンドでの音楽活動にこだわり、商業音楽に否定的な思想を持っていたことでも知られている。
アンダーグラウンドで活躍していた彼らだが、2nd アルバム「Nevermind」で爆発的な人気を得たことにより、コバーンは自身の持つ思想とのジレンマに陥り、後に苦しむこととなる。ニルヴァーナが音楽やロック史において重要であることは間違いないが、古着界隈においても重要人物であるといえるだろう。
2. グランジとは?
グランジとはオルタナティブロックの枠にある音楽ジャンルの1つである。ニルヴァーナの他に同ジャンルで活躍したアーティストには、パール・ジャム、アリス・イン・チェインズ、サウンドガーデンなどが挙げられる。ベーシストのクリス・ノヴォセリックはグランジを「伝統的なヘヴィー・ロックとパンクの融合」と表現しており、激しいビートとリフを軸とした楽曲構成、荒削りで感情的なサウンドが特徴である。
グランジの語源は形容詞「grangy」で、薄汚いなどの意味がある。カートを中心としたニルヴァーナメンバーの格好やメディアへの振る舞いが当時若者から絶対な共感を呼び、誰もが憧れ、そのスタイルを真似たという。80年代は派手な衣装や髪型で聴衆を喜ばせるポップメタルなどが流行していたが、ニルヴァーナの「Nevermind」あるいは、同アルバムに収録された「smells like teen spirit」1曲によって業界の流行を変えてしまうほどの衝撃を与えた。
3. ニルヴァーナの誕生とブレイク、カートコバーンの死による解散
フロントマンでありギターボーカルのカート・コバーン、ベースのクリス・ノヴォセリック、ドラムのアーロン・バークハートによって1987年にバンドを結成。結成時のバンド名は「フィーカル・マター」であったが、数回の改名により、最終的にニルヴァーナに落ち着いた。ニルヴァーナの楽曲における作詞・作曲のほとんどはコバーンによるものである。
1989年にインディーズレーベル「サブ・ポップ」からファーストアルバム「Bleach」をリリース。同アルバムはカルト的な評価を得つつも、商業的な成功とは言い難い結果となる。しかしアンダーグラウンドの界隈で徐々に人気が広まり、グランジシーンでは存在感を増していった。「Bleach」のリリース後、音楽性の相違からドラムのアーロン・バークハートを解雇し、オーディションを経てデイヴ・グロールがドラマーに迎えられる。この時点でのメンバーが、現在世間的によく知られているニルヴァーナの3名である。
その後メジャーレーベルのゲフィン・レコードと契約し、爆発的に人気を得ていくこととなる。1991年に発表したセカンド・アルバム「Nevermind」はBillboard 200で1位を記録。瞬く間に若者のヒーローとして祭り上げられた。しかしコバーンは「自分のメッセージや芸術的ビジョンが世間に誤って解釈された」と考え、喜ばなかった。その後1992年にコンピレーション・アルバム「Incesticide」を発表。1993年には、3rdアルバム「In Utero」を発表する。アンダーグラウンド志向を持つニルヴァーナだが、「Nevermind」以降はメジャーレーベルからリリースしており、前述の通り商業音楽への否定的な思想と自身の商業的な成功に挟まれ悩むこととなる。
双極性障害やドラッグの過剰摂取により健康的な問題があったコバーンだが、1994年4月8日、シアトルの自宅でショットガンにより頭部を撃ち抜き自ら命を断った。カートコバーンの死により、ニルヴァーナは解散する。
4. 代表曲「Smells Like Teen Spirit」
「Smells Like Teen Spirit」は1991年にリリースされたアルバム「Nevermind」に収録された楽曲。バンドを世界的なスターダムへと押し上げた代表曲であり、聴いた瞬間その世界に引き込まれる。もし現代のロックシーンでリリースされたとしても、過去の楽曲とは感じさせないほど先進的な音像である。歌詞は一見すると無秩序な言葉の羅列のようにも見えるが、若者たちの内面の葛藤や社会へのアンチテーゼであると評されている。しかしコバーンはこれを否定していることから、その真相は不明である。シンプルながらもインパクトのあるMVはMTVでヘビーローテーションされ、世間に広く知れ渡った。
タイトル「Smells Like Teen Spirit」は、コバーンの当時のガールフレンドであるコートニー・ラブが、ニルヴァーナのライブ前に自分の部屋に「Kurt smells like teen spirit」と書いたのが由来と言われている。ティーンスピリットは当時若者の間で使用されていたデオドラント商品の名前である。
5. ニルヴァーナとガンズ・アンド・ローゼズの対立
古着界隈では目にすることが多い両バンド。当時ニルヴァーナとガンズ・アンド・ローゼズは対立的な関係であり、ロックファンを二分化するほどの影響を与えていた。特にコバーンによるガンズ・アンド・ローゼズへの批判は強く、商業的な姿勢に対する否定的な発言が目立っていた。ガンズ・アンド・ローゼズのフロントマンであるアクセルローズは元々ニルヴァーナのファンであったが、コバーンによる批判により対立関係が生まれた。両バンドの対立はメディアによって過度に強調され、一種の「ロック・スター抗争」として世間に喧伝された。コバーンの死去により、両者の対立は自然な形で終結。しかし、彼らの間に存在した確執は90年代のロックシーンにおいて象徴的な出来事として、今もなお語り継がれている。
6. ニルヴァーナの必聴アルバム
ニルヴァーナのオリジナルアルバムは活動期間の短さもあり3つのみである。興味がある方は下記の順に全て聴いてみることをおすすめする。
1. 「Nevermind」
* 注目曲: 「Smells Like Teen Spirit」「Come As You Are」
* 特徴: ニルヴァーナを世界的なバンドにした代表作。グランジサウンドの原点と言えるアルバムで、パワフルなサウンドとキャッチーなメロディが特徴。
2. 「In Utero」
* 注目曲: 「Heart-Shaped Box」「Rape Me」
* 特徴: 「Nevermind」の商業的な成功から一転、より実験的でヘヴィなサウンドに挑戦したアルバム。カート・コバーンの内面の闇が深く反映されている。
3. 「Bleach」
* 注目曲:「About a Girl」「School」
* 特徴: メジャーデビュー前のインディーズアルバム。後のニルヴァーナへと繋がる初期のサウンドが楽しめる。
7. ニルヴァーナのおすすめTシャツ
1. 「Nevermind」ジャケットTシャツ


2. 「SLIVER」ジャケットTシャツ(「Incesticid」に収録された曲)


3. 「In Uteri」ジャケットTシャツ


8. 最後に ニルヴァーナを初めて聴いた時の感想
筆者がニルヴァーナを初めて聴いたのは29歳。若者といえるギリギリの年齢かもしれない。幼い頃からR&Bやソウルを好んで聴いていた筆者にとって、正直なところグランジは馴染みのあるジャンルではなかった。当時の感想をあえて飾らずに書かせてもらうと、「ちょっと暗いな」というところである。私がそれまで聴いていた、いわゆるエンターテイメントとして聴衆を楽しませる楽曲とは違う印象だった。もしかすると、現代の日本の若者で、私と同じような感想を抱く方は多いかもしれない。コバーンが持っていた商業音楽への批判、というテーマは普遍的でありながらも、現代の音楽シーンでは身近に感じることは少ない。しかしそれは恐らく90年代以前も同じで、少なくともオーバーグラウンドのシーンではグランジのような音像の楽曲はなかったのではないだろうか。そう考えると、その時代ニルヴァーナがどれだけ”異端”であったかがわかる。国も時代も違う現代の日本人がニルヴァーナを聴いて、すんなりと受け入れられる方が不自然のような気もしている。
しかし、今となってはニルヴァーナの虜である。彼らの楽曲の完成度の高さは言うまでもないが、それと「好きになる」ということは別である。これからニルヴァーナを知る人が彼らを好きになるには、コバーンのキャラクターやストーリー、心の葛藤を知る必要があるかもしれない。そうすることで楽曲への理解が深まり、彼らの魅力に近づくことができるだろう。ニルヴァーナファンに彼らの魅力を語らせた場合、十中八九コバーンの内面に触れるのではないだろうか。